聞き上手院長のたまには言わせてブログ

2012年11月 9日 金曜日

がんは除去するだけでなく、発症の原因を取り除くことが重要です

(続き)・・それでは早期の小さながんであれば、手術によって確実に治るのでしょうか。ところが現実はそう甘くありません。一般に早期がんは手術で摘出できれば9割方治ると考えられていましたが、最近の検討では、手術で取りさえすれば完治するとは限らないことが判明しました。一例を挙げると、千例以上の早期がんの手術症例を検討した研究に於いては5年生存率が52%でした。すなわち2人に1人は5年以内に死亡していたのです。

亡くなった方の大半は、がんの転移や再発、あるいは別にがんが発症したことが直接の死因でした。結果的にがんが残存していた、あるいはがん体質になっていた可能性が高いのです。この研究の責任者である済陽高穂医師は、単に手術でがんを取り除くだけに留まらず、残存していると予想されるがん細胞を何らかの方法で駆逐し、がん体質を克服するための取り組みが必要だ、と主張しています。

がんを発病しやすい要因があり、しかもそれが解消されずにいた場合には、仮にガンを手術で完全に摘出したとしても、いずれがんが転移または再発する、或いは他のがんが新たに発病する可能性が少なくありません。そうだとすると、今あるがんを取り除くだけでなく、再発や転移、新たながん発症を予防するためにも、がんの発生を促す要因を少しでも除去する努力や工夫が求められます。

さて、がんの発症を促す要因としてはどのようなものがあるのでしょうか。以前から肺がんと喫煙、胃がんと塩の摂取、肝臓がんとアルコール摂取などの因果関係が説かれてきましたが、近年の研究ではがん発症と食事との間には、予想以上に深い関係性があることが判明してきました。日々の食事で体内に摂取する栄養素のバランスや発がん物質などが、がん発症の恐らく最大の要因であろうという訳です。

我が国でがんが増える一方であるのとは対照的に、米国では1990年代半ばからがん患者数が減り始めています。米国は以前、がんや心臓病の罹患率が世界的にみても高く、先進諸国の中では平均寿命も短い部類でした。ところが一転して健康な国の仲間入りを果たしつつあり、がん以外に糖尿病や心臓病などの患者数も総じて減少に転じています。米国のこのような著しい変化をもたらした要因は一体何でしょうか。

これには政府や医師会などが音頭を取って推進した禁煙運動、そして食生活の抜本的な改善への取り組みが大きく寄与しました。1960年代後半に米国の議会で国民の食事内容を改善することを求める「マクガバンレポート」が出され、それを弾みとして学校や家庭、職場などで食生活を変えるための取り組みがなされました。動物性食品や加工食品を減らして野菜や果物などをたくさん食べる、という運動です・・(続く)

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投稿者 蒲田よしのクリニック 院長

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