聞き上手院長のたまには言わせてブログ

2012年11月30日 金曜日

高濃度ビタミンC点滴療法に「認定医」制度が生まれた背景とは・・?

(続き)・・高濃度ビタミンC点滴に限らず、血管の中に薬剤や栄養素、水分などを注入する点滴療法には一定の工夫と注意が必要です。薬剤の種類によっては副作用や事故の危険が伴うため、格段の注意深さが要求されます。10数年にわたりガン治療に携わってきた私の経験からも、とりわけ抗がん剤は慎重に注射または点滴をしなければなりません。抗がん剤はガン細胞だけでなく正常組織も傷害するため、血管から漏れたり量が多過ぎたりすると、かなりのダメージを蒙ってしまいます。

それに比べてビタミンCは、基本的に人体には無害で副作用もないため、抗がん剤ほどは警戒しなくても良いのかも知れません。しかしながら高濃度ビタミンC点滴療法では、通常の50倍から200倍もの「超高濃度」のビタミンCを注入するため、抗がん剤とは異なった工夫と注意が必要です。レモンの個数に換算すると、2千個から8千個にも相当する膨大な量です。従ってその点滴には一定のルールが存在します。それにも関わらず、ルールを守らず自己流でビタミンCの点滴をする医師が少なくありません。

そのルールの一つは点滴の「浸透圧」です。通常の点滴であれば、生理食塩水や5%ブドウ糖溶液、細胞外液や細胞内液に近い組成の点滴を、その時の体の状態に合わせて選び、薬剤や栄養素を混注して点滴します。ところがこのやり方で高濃度ビタミンC点滴を行なうと、点滴溶液の浸透圧が異常に高くなり、点滴を受けた患者がひどい血管痛を覚えるだけでなく、脱水状態や腎機能障害、心不全などの有害事象を招いてしまいます。そのような事態を避けるために、点滴の溶媒は必ず「蒸留水」を用います。

蒸留水をベースとした高濃度ビタミンC点滴溶液であれば、深刻な有害事象や血管痛は防げます。但し点滴速度にも注意が必要です。というのは、あまりに点滴速度が速いと血管痛を起こしやすいだけでなく、やはり心不全などの誘因となってしまいます。高濃度ビタミンC点滴は蒸留水とビタミンC溶液だけで行なう極めてシンプルな点滴療法ですが、特徴の一つとしてマグネシウムを混注するということが挙げられます。これは一つには血管痛を防止するためです。

さらに蒸留水そのものにも神経を使う必要があります。日常診療に於ける点滴で、蒸留水を用いることは殆んどありません。蒸留水をベースとした点滴では、あまりに浸透圧が低過ぎるからです。もし誤って蒸留水を単独で点滴してしまった場合には、血液の浸透圧が急速に低下して急性の溶血発作を起こし、最悪の場合は急性腎不全を併発して緊急透析などの処置を必要とする事態に陥ります。従って、蒸留水を単独で点滴をすることの決してないように、細心の注意が必要なのです・・(続く)

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投稿者 蒲田よしのクリニック 院長

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