聞き上手院長のたまには言わせてブログ

2012年11月 4日 日曜日

がんを早期に発見し治療することに多大な努力が払われてきました

(続き)・・そのように蔓延していくがんに対して、我々はどのような対策を講じるべきでしょうか。がんの診療に於いて重点が置かれていることの一つに早期発見と早期治療が挙げられます。がんを放置して大きくなってしまうと治療が難しくなるので、まだ早期のうちに治療しよう、特に手術で取り除いてしまおうという取り組みです。早期の小さいがんは手術による除去が比較的容易で、早期手術をできるかどうかが一つの焦点となります。

例えば大腸がんの場合には、早期のポリープ状のがんは内視鏡で除去することも可能で、殆んどの症例が治癒を得られます。これに対してリンパ節や肺、肝臓などに転移している進行がんとなると治療が難しく、5年生存率は数%という不良な予後となってしまいます。転移のある進行がんでは手術の適応外とされる例が多く、一般的な西洋医学の範疇では治療の選択肢がたいへん限られ、厳しい現実となっています。

そのような事情から、がんを少しでも小さいうちに発見し治療することに並々ならぬ取り組みがなされてきました。例えば日本人に多い胃がんを撲滅すべく、胃がん検診が至る所で行なわれたものです。まずバリウムを飲んで胃のレントゲン撮影を行ないます。そこで有所見者に対して胃の内視鏡検査が行われ、がんが疑わしい部位の生検を行ない、がん細胞の有無を確かめる、という一連の取り組みです。

それ以外のがんでも、乳がんに対しては乳房触診とマンモグラフィー、肺がんに対しては胸のレントゲン撮影と痰の細胞診、大腸がんに対しては便潜血検査と大腸透視検査などが行われました。これら各種がんに対する個別の検診システムによって早期発見できるがんの症例数を飛躍的に増やし、手術を始めとする早期治療に結びつけました。このような取り組みには官民挙げての協力体制が取られたのです。

がんの手術も大幅な伸びを見せています。病院で行なわれる手術の半数近くはがんに関連した手術です。外科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、整形外科、脳外科など、手術を行なう診療科の医師で、がんの手術に全く関与しない医師を見つけるのは至難の業です。がんの手術の件数は年々増えており、各地の病院で毎日のように何千というがんの手術が行われています。学会に於ける討論の最大のテーマは「いかにガンを治すか」といえます。

手術の技術や術後管理の方法も改良されてきました。術中のアクシデントや合併症による死亡数は減少し、以前よりは低リスクで手術を受けることが出来るようになったのです。手術により除去する範囲に関しても、一昔前は拡大手術といって所属リンパ節ごと広範囲を切除したものですが、最近はできるだけ除去する範囲を狭めた「縮小手術」が主流となりつつあり、患者の負担を少しでも減らす努力がなされています・・(続く)

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投稿者 蒲田よしのクリニック 院長

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