聞き上手院長のたまには言わせてブログ

2012年11月 8日 木曜日

抗がん剤の効果は多くの場合、一時的かつ限定的なものに留まります。

(続き)・・そのように重篤な副作用をもたない新しいタイプの抗がん剤も登場しました。一例を挙げると、慢性骨髄性白血病に対するイマチニブという薬は、このタイプの白血病細胞に特徴的な分子配列に限定的に効力を発揮し、一方で正常細胞には殆んど悪影響をもたらしません。そのために白血球減少や貧血、吐き気などの副作用が非常に軽微であるという利点があります。但し他のがんや白血病に対しては全く無効です。

抗がん剤とは違った機序で効果を発揮するのが放射線治療です。ラジウムなどの鉱石が壊変することで放射線が放出され、これががん細胞の遺伝子を変性させる、細胞質を破壊するなどを通してがん細胞を攻撃します。がんが局所に留まっている際には著明な効果を発揮することもありますが、臓器などに転移した場合には放射線治療は無効です。また皮膚の炎症や壊死、肺線維症など特有の副作用があり、充分な注意が必要です。

特殊な放射線治療として、ガンマナイフや重粒子線などがあり、脳などの微細な腫瘍の治療に活用されています。このような治療法では大きな線量の放射線を狭い範囲に集中的に浴びせるため、高い抗腫瘍効果を望める一方で、周囲の正常組織へのダメージを最低限に減らすことが可能です。但し設備投資がかさむことから大変な高額医療となっており、そうそう気軽に受けられる治療とは言えません。

その他、がんへの抵抗力を上げることを狙った治療法もいくつかあります。人体ががんを克服する武器としてリンパ球などの免疫系の細胞を持っていますが、それを活発にするための治療法として、各種がんワクチン、樹状細胞療法、活性化NK細胞療法など様々なものが挙げられます。これら免疫力を向上させる治療法は進行がんなど難しい症例にも効果が見込める半面、治療費用が巨額になってしまう傾向があります。

ところで抗がん剤や放射線などの治療法は、進行がんに対して一体どのくらい効くものなのでしょうか。それに関しては様々な統計がありますが、一部を除いて厳しい結果が出ています。例外的に80~90%にも及ぶ奏効率を示す病型もありますが、大部分のがんでは抗がん剤などの効果はたいへん限定的で、奏効率はせいぜい20~30%程度、5年生存率は数%に留まっているのが現状です。

抗がん剤の新薬を厚労省が認可するにあたっては、おおよそ20~40%の症例で何かの効果が現れれば新薬として認められる、というルールがあります。換言すれば大半の症例で効果がなくとも、抗がん剤として認可されることがあるのです。現実に多くの固形がん、例えば肺がんや肝がん、膵臓がんなどに於いて抗がん剤の効果は多くの場合、一時的かつ限定的なものに留まるのが正直なところです・・(続く)

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投稿者 蒲田よしのクリニック 院長

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