聞き上手院長のたまには言わせてブログ

2012年12月 1日 土曜日

高濃度ビタミンC点滴療法の結果を左右するビタミンC血中濃度

(続き)・・高濃度ビタミンC点滴療法には禁忌となる患者は殆んどいません。病状や年齢などに関わりなく、ほぼ全ての方がこの点滴を受けることが出来ます。但しごく例外的に、遺伝性の酵素欠損症があると点滴をすることが出来ません。赤血球の膜に存在するG6PD(グルコース-6-リン酸脱水素酵素)という酵素が欠損していると、高濃度のビタミンCによって溶血反応が起こってしまいます。日本人には非常にまれな遺伝子異常ですが、血液検査によって必ず確認するよう義務付けられています。

禁忌というほどではありませんが、重度の心不全や腎不全、透析中の患者は高濃度ビタミンC点滴を控えるように指導されています。ビタミンC自体が酸性であるため、それを中和するために水酸化ナトリウムを添加していることがその理由です。ナトリウムは水分を保持する性質があるため、心不全などのために浮腫や腹水などが多量にある方の場合には、貯水傾向がさらに悪化する危険があるからです。従ってそのような方が高濃度ビタミンC点滴をする場合には、かなり慎重に行なう必要があります。

そのような酵素異常や高度の心不全などといった特殊事情がなければ、ほぼ全ての方が高濃度ビタミンC点滴療法を受けることが可能です。前述の浸透圧や点滴速度などのルールさえ守れば、比較的安全かつ汎用性の高い優れた治療法ということが出来ます。但し充分な臨床的効果を発揮し、ガンなどの病気を的確に治療していくためには、他にもいくつか注意すべき点があります。その一つはビタミンCの「血中濃度」です。血中濃度を一定レベル以上に保つことが、充分な効果を発揮する上でたいへん重要です。

ビタミンCは組織外液で過酸化水素を発生させ、これがガン細胞を攻撃しますが、充分量の過酸化水素を発生させるために必要なビタミンCの血中濃度は350mg/dl以上とされています。ビタミンCの点滴を繰り返していくと段階的に血中濃度が上昇し、遂には350mg/dl以上に達すると、その時点からガン細胞への抑制効果が飛躍的に高くなります。その血中濃度以下では、体調は良くなるかも知れませんが、ガンを攻撃する作用は充分に発揮されず、満足のいく臨床効果は得られません。

従って高濃度ビタミンC点滴療法に於いては、点滴終了直後に点滴した腕とは反対側の腕から採血し、検体を専門の検査機関に送って血中濃度の測定を依頼しなければなりません。その血中濃度をモニターしながら、最適なビタミンC投与量を決定するのです。多くの場合、ビタミンCを62.5gから75g点滴した場合に、目標の血中濃度である350mg/dl以上に到達します。このようなきめ細かいコントロールをして初めて、高濃度ビタミンC点滴療法が真価を発揮するのです・・(続く)

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投稿者 蒲田よしのクリニック 院長

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