聞き上手院長のたまには言わせてブログ

2012年12月 4日 火曜日

高濃度でガン細胞を「酸化」し殺傷するビタミンC

(続き)・・その本場米国でも、ビタミンCを活用したガンの治療が、最初から順風満帆で行なわれてきた訳では決してありません。2つのノーベル賞を受賞したライナス・カール・ポーリング博士が1970年代に、高用量のビタミンCが風邪の予防やガンの治療に有効との研究結果を発表したところ、大きな反響がありました。しかしその後まもなく、著名な大学病院であるメイヨー・クリニックからビタミンCの投与はガンに無効であるという反論が出て、それ以来ビタミンCは見向きもされなくなりました。

ところがこのメイヨー・クリニックの反論には決定的な問題がありました。ポーリングの臨床研究ではビタミンCを点滴および内服で投与したのに対し、メイヨー・クリニックの研究では内服のみの投与だったのです。点滴と内服とでは血液中に入るビタミンCの量が数十倍も違うため、血中濃度にも大きな開きが生じます。現在の知見では、ビタミンCを内服で投与してもガンには充分な量ではないことが判明しています。内服で効果がないとしても、ビタミンC自体の効果がないとは決して言えないのです。

1990年代になり、前出のNCIや米国国立衛生研究所(NIH)、米国食品医薬品局(FDA)が共同研究で「高用量のビタミンCがガン細胞を殺傷する」という結果を発表し、ビタミンCをめぐる流れが一気に変わりました。その後2000年代にかけて、高用量ビタミンCのガンに対する有効性を証明する学術発表が相次ぎ、米国に於いては高濃度ビタミンC点滴療法やビタミンCのサプリメントによる内服が、ごく一般的な治療となりました。この流れはヨーロッパや日本にも順次、波及してきています。

ビタミンCは元来、我々人間が自ら合成できない栄養素です。哺乳類の中ではサル、モルモットと並んで、人間はビタミンCの合成能を持っていない数少ない動物の一つです。そのために我々は毎日の食事の中で、ビタミンCを摂取し続けなければなりません。果物や野菜をたっぷり食べなさい、とそれこそ口を酸っぱくして言われるのはそのためです。ビタミンCが欠乏すると、歯肉や内臓に出血する壊血病にかかり、死に至ります。大航海時代には多くの船員が、ビタミンC不足による壊血病で命を落としました。

食事やサプリメントで摂取するレベルのビタミンCでは、風邪の予防や体調の改善などには大いに役立ちますが、ガンを小さくするまでには至りません。それに対して高濃度ビタミンCを血管内に注入すると過酸化水素を多量に発生させ、ガン細胞に対して殺傷力を発揮します。それでいて正常細胞には全く悪さをしないため、ビタミンCはいわば副作用のない、優れた「天然の抗がん剤」といえます。元々ビタミンCには抗酸化作用がありますが、高濃度ではガン細胞をむしろ「酸化」させるのです・・(続く)

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投稿者 蒲田よしのクリニック 院長

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